甲状腺がんの生存率や治療について
甲状腺乳頭がんの疑いを告知され、初めてこのがんについて検索して調べました。私の覚書も兼ねてざっとしたことを書きます。
私の病名はこの告知の時点で「甲状腺乳頭がん の疑いclassIIIb」でした。
甲状腺がんの患者 …
1年間に人口10万人あたり7人前後発生
四つ葉のクローバーの発生確率が10万個中の1個なのでそれよりは高いくらいですか、ピンとこないですね。年末ジャンボの一等1000万分の1の確率よりはだいぶ高いですが。
甲状腺がんの種類 …
・乳頭がん …分化がん。日本の甲状腺がん患者の9割がこれに当たる。予後が良いがんとされる。女性に多く、極めてゆっくり進行するが高齢で発症するほど悪性度が高い。
・濾胞がん …分化がん。5%がこれに当たる。予後は比較的良い。
・髄様がん …1〜2%がこれに当たる。乳頭がん、髄様がんより進行が早い。2、3割が遺伝性。
・未分化がん …1〜2%がこれに当たる。進行が早く悪性度の高いがん。高齢者に多い。
その他、悪性リンパ腫や低分化がんといった分類もある。
一般的に予後が良いと言われている進行度の低い分化がん(乳頭がん、濾胞がん)であるが、急速に進行する未分化がんに変化することは起こり得ることで、特に高齢者では注意が必要。また一方で、微小な乳頭がんで若年者であっても、経過観察中にリンパ節などの転移が認められる湿潤、転移しやすいタイプも存在する。
甲状腺がんのステージ別生存率 …
10年生存率(1999-2002年初回入院治療症例)
Ⅰ期 100%
Ⅱ期 100%
Ⅲ期 94.2%
Ⅳ期 52.8%
全症例 90.9%
統計を取った条件(時期や地域)によってそこそこ変動するみたいです。この数値は、最後に示す参照サイトの2つ目から引用しました。
甲状腺乳頭がんの治療方針と温存によるリスク …
遠隔転移のない乳頭がんの場合基本的には手術が基本となりますが、方針は日本と欧米で異なるようです。ステージが低い場合、進行が遅く予後の良いがんであり、生存率が非常に高いことが、かえって複数ある治療方針の優劣を分かりにくくしているようです。
この辺りは、以下HPに詳しく書かれていますが、方針と再発リスクについて抜粋します。
手術手法の違いによるメリットデメリット
1. 甲状腺全摘を行う (補助療法も行う)
◎ 甲状腺にがんが残ることがない
◎ 手術後、放射性ヨードによる転移の検索、治療が容易にできる
◎ 再発のチェックが、血液検査によって、サイログロブリン値を測定することで、容易に可能
× 手術による合併症(副甲状腺[上皮小体]機能低下、反回神経麻痺)が起こる確率が高い
× 生涯、甲状腺ホルモンを薬として飲まなければならない
2. できるだけ甲状腺を温存した手術を行う (補助療法は行わない)
◎ 手術によって、副甲状腺(上皮小体)機能低下、反回神経麻痺などの合併症が起こる確率が低い
◎ 手術後、甲状腺ホルモンを飲む必要がないことが多い
× 温存した甲状腺に小さながんが残る可能性がある
× 放射性ヨードによる検査、治療を行う場合、温存した甲状腺を、もう一度手術して切除することが必要となる
× 血中サイログロブリン値は、がん再発のマーカーにならない
手術手法の違いと再発リスク
1. 甲状腺全摘を行う(補助療法も行う)
・欧米の多くの病院がこの方法を採用
(がん研病院ではこれまで採用せず)
・生存率は2の方針と変わらない
・再発率は2の方針より優れているという報告が多い
2. できるだけ甲状腺を温存した手術を行う
(補助療法は行わない)
・がん研病院ではこれまでこの方法を採用
・低危険度乳頭がんの10年生存率、99%以上
・温存した甲状腺への再発、1.4%
・肺などへの遠隔再発、1.2%
・リンパ節再発、7.2%
参照サイト(2017年4月時点での参照)
甲状腺がん:[国立がん研究センター がん情報サービス 医療関係者の方へ]
http://ganjoho.jp/data/public/qa_links/brochure/odjrh3000000ul06-att/117.pdf